擁壁のある敷地
間地擁壁5m付きの高台敷地を住宅地として
    購入検討をしています 

耐震診断ボランティアのグリーンハウス登録メンバーとして、相談を受けた。

MMさんからの了解を得て掲載いております。

神奈川県のM・M様から相談内容

グリーンハウスのホームページを見て擁壁について相談のご連絡いたします。
現在、自宅建て替えのため土地を探しています。近くに東南角地の擁壁がある
土地が販売され購入検討をしていますが、インターネット上の擁壁の自己診断マ
ニュアルで診断したところ危険な土地となりました。
尚、この土地は山を削って出来たようです。
特に気になるのが下記点です。購入して良いものかどうかアドバイスを頂きたく。
家は1Fの床面積が20坪で延べ床40坪程度を考えており、通常の家より重量は
あると考えます。
 
<気になる点>

1)擁壁の高さと勾配
高さH約5m、水平長さL約1.5mでL/Hが0.3しかありません。
2)ブロックの2段積み 一部擁壁が新しく積み増しされており、高さは2m程度あり
ます。古い擁壁部は20年以上前のものです。古いので強度、耐震性も心配です。
白い擁壁部は盛り土もされており、地盤沈下も気になります。古い擁壁部は盛り
土はありません。
擁壁内部の土は硬そうです。
 
3)宅地の勾配
擁壁に向かって下に傾斜しており(2段のひな壇の下の方に位置)、雨水が擁壁に
流れていきます。また、購入を検討している土地の隣(上部)が1m程度高くなって
おり、かつ新しく家も建っており、擁壁への圧力も高いのではと考えます。
 
尚、市役所に確認したとろ、擁壁は市の所有物で、擁壁に無理な力がかからない
ように基礎をきちんと行えば問題ないという回答がきました。ということは基礎をき
ちんとやらないと危険ということにも取れますが。



グリーンハウス登録メンバーの  赤塚信義です

このような擁壁のケースは、仕事の上でも扱ってきました。 私の、今までの経験
でお答えいたします。 写真も見る事が出来ました。大変参考になります。

即断は出来ませんので少しお聞きしてもいいですか。

もし即断するとしたら、危なきは近寄るべからずです。 

これでは、実も蓋もありませんよね。
ここの場所が、気に入ってどうしてもと言う事ですか、 とした場合ではなくても気に
なる土地ですね。

写真も見ると、間地ブロックの擁壁ですね。 
道路を作るために、
  道路部分を切り土をしているようですか。
  道路部分が元の土地位置で敷地を盛り土しているようですか。
  道路部分と敷地部分で、道路部分は切り土、敷地部分は盛り土しているようで
  すか。

この擁壁は、工作物の許可を取って施工され、検査済みを受けているか調べて下
さい。不動産屋さんに聞いてみてください。または、市役所の方で工作物の 許可が
出ているか調べてください。そして工作物の検査済みを受けているか調べて下さい。

一部 2段済みにしているのは、どのような経過でやらなければならかったか 知りた
い。積んでなかったのは、不都合があった(崩れたとか)、必要がなかった(土地の
使い方で)か教えて下さい。



MMさんからの内容


①この土地はもとは山で、道路部分を切り土しています。よって今回相談させて頂
ている土地の盛り土は白い新しい擁壁部分です。

②工作物の許可を取っているかどうかは不明ですので確認し連絡いたします。教
て頂きたいのですが、工作物の許可とはどのようなものなのですか?

③2段積みしている理由ですが、新しい擁壁が出来る前は、古い擁壁から上部に
斜地となっていました。造成前は古い擁壁上部に何も無く、擁壁上部を平らにする
必要も無かったので、擁壁下の坂道に平行に約5mの擁壁が作られたものと想像
ます。し かし、今回は擁壁上部を宅地にする為、この土地を平らにする関係上、
しい擁壁で2積みにしたと考えられます。

④月曜日に不動産屋に購入の可否について回答する必要があるので、率直に意
を言っ て頂けると有りがたいと考えます。



私の内容

① ③ 新しく積んだところも、高さ2m以上の部分に当たりますが、この擁壁は、役
所が工事を発注したのですよね、所有者は、役所ですよね。もし不動産屋さんか、
土地の売る方が、 勝手に工事した場合 どのように許可を求めて工事したのか。
道路法のなかの公共物の許可、24条申請、占用届けの許可、工事した後にこの部
分を市の方に財産帰属(寄付)しているかと心配になります。(この内容を解説する
のは大変ですので、このようなことがあると認識しておいてください。)
正規のルートで合法的に手続きが出来ているかが心配です。
土地の境界は、当然擁壁の構造物の逃げたところですよね。もし擁壁を含んで法
下(のりした)で道路との境なら話は変わります。
 もし擁壁を含んで購入するとなれば、擁壁は、市で作っても購入者がこれから管理
になります、ので将来擁壁を壊してコンクリートの直壁にする事は可能ですが、これ
だけの擁壁 を作り変えると2000万円程度はかかりますね。工作物の許可を取り直
して工事になります。
L時型の根入れが必要ですので、擁壁から建物のは離れを4m以上離す必要があ
ります。本来は擁壁の下部分より2:1の勾配で はなす事が必要。
土地の境界は、当然擁壁の構造物の逃げたところの上部のところだと擁壁が、老
朽化してやり変えざる得ない場合(倒壊の危険と判定された場合)が出てきます。
その時にどのように工事するかが問題です。 4m以上と曖昧に書いているのは、こ
の土地の地耐力によってL時に返す長さが不明だからです。
地耐力が30kn( 1㎡当たり3t)しかないとL時の底版の長さが8mくらいになります。
地耐力が50kn、100kn、200knと大きな地耐力がとれましたら短くくなりますが、4m
は、最低必要になります。
地耐力が30knしかない場合でも、杭施工で耐力のある地盤まで到達したとしても転
倒しないように施工すると2列の杭の施工が余儀なくされます。4mは最低必要になり
ます。

②の工作物の許可とは
工作物は、高さ2m以上の擁壁につて、構造、工法、安全であるかの計算書をつけ
て市役> 所に提出し、工事が終わると検査して、設計図通りに出来ているかの確認
検査をいたします。    合格なら検査済み書を発行されます。

月曜日に不動産屋に購入の可否について回答する必要があるので、率直に意見
を言っ て頂けると有りがたいと考えますとの事ですが、

冒頭で記載いたしました。
        "もし即断するとしたら、危なきは近寄るべからずです。" の通りです。
         "ここの場所が、気に入ってどうしてもと言う事ですか。"
         と投げかけておりますがどうですか。
 この土地は、プロでも判断がきつい土地です。リスクを背負ってでもなにかがメリット
があり、どうしても気に入っているようでしたら、前段で書きました内容を加味して判
断していかれてください。


私の質問

写真の中で入りこみ道路の反対の新規で作られた擁壁のエンド部分の隣地側で直
角に入っている部分にグレイぽくブロックか何かが、コンクリートのほかに存在する
よ うに見えますが何か教えて下さい。フェンスとラップしているので何でしょうか。
差し支え有りませんでしたら。FAXの番号を教えて下さい。
文章で書きますと説明つかない部分があります。


費用がかかるのでしょうか。概略で結構です
ので教えて頂きたく。MMさんからの内容
①新しい擁壁のブロックのようなものですが、ご指摘どおりブロックです。
写真を送付します。

②fax番号は**********です。

③工作物の申請に建物有りか無いかついては不動産屋に確認し連絡致します。
物有りとは擁壁上部に建物有りを前提に作られて申請を取ったということですか?
役所の方で、建物の基礎をしっかりしてもらえばいいですは、ここにかかっている
うですね。建物方の応力度圧は考慮していない事でしょう。


質問があるのですが、擁壁に負担をかけないような基礎とはどのような基礎で、一
階の床面積が20坪程度ならどのくらい



私の内容

①ブロックですか。この境は、隣地との境ですね。この境のブロックは、こちらの
敷地の中ですかお隣のものですか。たぶんこちらの敷地ですよね。
造成工事で3段以上のブロック積みで、土圧を受けるところには使いません。工
事費を安く押える為に使いますが安易な工事屋さんの発想です。横からの圧力
は、ブロックの中の鉄筋でしか負担できませんので長い間で鉄筋が腐ってきた
ら崩れてしまいます。ブロックは土がこぼれるのを止めるだけです。ベニア板と
同じです。


③擁壁が、安全であるかのとの意味は、地面だけが存在したときに安全か、道
路を作るときには建物は無かったから地面のすべりだけを考慮すればいいとした
場合、建物の方で擁壁に負担をかけないような設計が必要です。
 建物が上にのると基礎の底版の下部から45度で下方に応力が伝わりますので、
たえたれるだけの設定がなされ擁壁構造か確認することが大切です。
工作物の申請の書類に建物ありか、なしかが解かるといいのですが。擁壁工作
物申請がされて検査済みとられているかによりま。調べて下しい。役所の仕事とい
えど許可は、取ります。 または、計画通知を出しているはずです。
これがあいまいなら建物基礎で安全を確保することが必要です。

方法は、何種類かあります。

 faxでスケッチを送りますが、擁壁に建物の横応力を加えない工法を検討しなけれ
ばなり ません。
1.建物の基礎を擁壁の底版下まで施工する
2.建物の基礎から45度の下角度で擁壁の底版下になるように考慮する。
3.建物の基礎を浅くして、杭施工をする。杭が止められるいい位置をボウリング調
 査が必要

杭には、いろいろな種類がありますが、地盤改良の杭ではありませんので認定を
受けた支持杭となります
支持杭:1.コンクリート現場打杭
      2.pc(プレストレスコンクリート既成品)杭(電柱のようなもの)
      3.pc杭のつばがついた杭
      4.鉄管の杭
      5.鉄管のつばがついた杭

 工法 上記の2から5までの杭で 1)よぼりをして落とし込む工法
      2)よぼりをして落とし込みセメントを流し込む工法
      3)杭本体を回転させながら挿入する工法
    があります
住宅程度でしたら建物の重量は、1㎡当たり21kn(2.1t)程度ですので杭の選択
として通常の基礎(ベタ基礎)((布基礎は、やめましょう))施工で
    支持杭 5 の 工法 3
を薦めます。

ボウリング調査により長さをきめますが、約10m、20本で180万円位です。

但し建物は擁壁の上部位置から4mはなしてください。
この工法でいたしますと基礎から上部の建物は、通常の建築でいけます。

近隣上部の建物の影響は、ファックスで送ります。

本当に気に入った場所、リスクを背負っても手に入れたいところであれば、
どう土地を利用し、リスクを解決したらよいかにかかってきます。

他の土地の候補もあり、検討するだけであればこの土地は、手に入れるべきでは
ありません。
何故このように、いろいろコメントを入れなければいけないかと考えると、単純な
土地ではなくリスクが多すぎるからです。
悩むんでこの場所を選択し、技術的な解決をしてもどこかで何時も不安感が残る
場所、地震が来たら、擁壁がどうなるのと心配がつのります。
この土地の購入費が周りより安いのでしょうか。安いだけの理由はありますよ。
本来は、高いはずです、擁壁の造成工事をしていますから、工事費を土地の販売
価格にプ ラスされます。
一級建築士としての立場なら、この土地は、候補から外します。私なら購入いたしま
せん。

参考になりますか、お役立て下さい。ありごとうございます。
なりと、連絡ください。もっとキャッチボウルしなければならないかもしれません。



MMさんからの内容

毎回色々なアドバイス有難うございます。
技術的な問題点やその対応方法については、少しはわかって来た様な気がします。
また、課題の多い土地であることもわかりました。
土地の価格については63坪で2650万円と相場から行って若干安いと考えます。や
はり擁壁が影響していると考えます。
現在、この土地は大手不動産が持っているとのことですが、通常売れる土地であ
ば建売にするのが普通と考えます。しかし、今回建築条件無しではじめから売るこ
とを考えると、地震等で何か問題が出たときには、建築条件無しで売った方が会
としてのリスク低減になるものと考えます(考えすぎですか?)。特に今回の土地の
上部は建売で売っていましたので。
この度は擁壁や基礎について色々教えて頂き大変参考になりました。
今後とも何かあった時は相談に乗って頂きたくよろしくお願いいたします。



私の内容

MMさんが、考えるとうりと、私も思います。
確かない安いです 坪当たり42万円ですね。この土地の路線価格は、どのくらいで
しょうね。奥の土地の建物つきでどのくらいの値段か、そこから想定建設費を引い
て見るとどうでしょう。建売ですと一般的住宅(高級以外)建坪45万年程度と見てく
ださい。
幹線道路付きの角地で東南向きの平地ですと、奥の家より2割ほど高いのが相場
です。今回はどうでしょう。

大手だあれば、なおさらのこと、このリスクを相当研究していますね。
現状渡しの土地ですから、使い方は購入者が決めてください、後は御自由に、土地
を売っただけですからと無言のメッセージですね。

もし仮に、建築条件がありませんが付けられますかと、お話された時にその不動産
屋さんは、どのように言ってくるでしょうか。

やってみてはどうでしょう。

建物の作り方を提案してもらう。(基礎の考え方が主体ですが、ここは、だまてんで
促す程度、私は、いろいろな事を研究してるは、ほのめかさない。提案してもらう。
あまりいい加減であれば、ちくりとさすていどにしておく。)

工事費を聞き出す。
などの方法があります



MMさんからの内容

昨日は電話での相談に乗って頂き有難うございました。
擁壁の検査証について市に確認しましたが無いようです。よって、特に擁壁上部に
建物を建てることを前提に擁壁が作られていないようです。このことが市役所の担
当者が擁壁に圧力をかけない様にきちんと基礎をやればという発言になったと思
います。
しかし、基礎も地震のように地殻変動や地割れのような現象が発生すれば、いくら
基礎をやっても防げるものでは無いと考えます。一般の建物の基礎はあくまで平
時の不動沈下等を防ぐ役割ではないでしょうか。
また土地が擁壁に沿って長細い土地のため、擁壁上部端部から4mの距離をとる
ことは難しい状況で安全上も問題があるのではと考えます。
この土地は日照や日当たり、学校の近さ等からロケーションは非常に気に入って
いますが、再度見直したいと考えます。



私の内容

電話で、お声が聞けて嬉しかったです。やはり段階の世代の年齢ですとNT(ネット)
のみですと、本当に伝わっているのか不安です。文章だと、どちらにでも取れるあ
いまいさがあります。だんていして書くと、命令調になり押し付けになります。
悩みます。 でも、MMさんがよんで判断材料に、解りやすく出来るように努力いた
しました。
クドクテ読み読みづらいかも知れません。すみません。

一般の建物の基礎はあくまで建物の重量を地面に均等に伝える役目ですが、その
地面が建物の重量を受けられるだけの地表に地耐力があるかによります。
ない場合は、地耐力がある部分まで基礎を下げます。その方法として杭を使います。
平時の不動沈下等を防ぐ役割でもあります。

擁壁上部端部から4mの距離は、擁壁のメンテナンスを考えると最低の数字ですが、
工法により鋼製のシートパイルを打込む、H鋼の杭を打ち山止め板で山止めをする
と、4mが、3m、2mと作業スペースを小さくすることが出来ます。そして擁壁をメンテ
ナンスする
(コンクリートの直壁とか、間地ブロックの積み替えをする)ことが、可能になります。
これが、最高の山止めです。役所なら可能です(工事費が高額でも安全施工を考慮
できる)。
この土地は日照や日当たり、学校の近さ等からロケーションは非常に気に入ってい
られるようですが、どうでもこの土地でなければと考えているなら、

   確実に安全な方法を講じてリスクを安全に変える施工をと考えます。

リスクを認めて購入するには、ご自分もリスクを背負う事を覚悟する事が大切です。



MMさんからの内容

擁壁つきの土地の件ですが、最終的には購入する方向で考えています。
一時は購入をあきらめましたが、その後の地盤調査結果、赤塚様のアドバイスも
考に設計士さんとの検討、管轄の土木事務所との打ち合わせ結果から上記方向
進めています。
ご指摘の通り色々課題が多い土地であることは十分に理解していますが、子供の
区、日照、ロケーション等に加え、ここ一年以上探してもなかなか良い物件が出な
状況から上記判断に至っています。
現在まで色々アドバイス頂き有難うございました。今後もアドバイス頂くことがあり
ましたらよろしくお願いいたします。
今回の件につきましては、FAXで詳細の説明に加え、直接お話もさせて頂き、本当
有難うございました。


私の内容

MMさんからの了解を得て掲載いたしておりますが、この文章の責任は、
アトリエあかつか建築設計企画 代表 赤塚信義にあります。

インターネット耐震診断ボランティアのグリーンハウス登録メンバー  赤塚信義